ピアス完全マニュアルでは、しつこいくらいにピアスの長さの重要性を強調しました。ピアスの長さの選択を誤った例をお見せしましょう。
Case1:
ピアッサーを設計するにあたっての個本的事項の一つに、ピアッシング直後にキャッチは軸の先端に停まらなくてはならないということがあります。
勢いあまって、ついついこのようになりがちです。

これをそのままにしておくとこのようにピアスが埋まってしまいます。

これは別の人ですが、やはり埋まっています。

同じ事故が朝日新聞や女性自身で取り上げられ大きな問題となりました。
JPSを設立する以前に、この会社の社長さんに「軸を長くしてください」といったところ、「ピアッシング後にはキャッチを端まで引き戻してください、と説明書に書いてあります。事故は不注意によるもので使用者の責任です」といわれてしまいました。
では、キャッチを最先端に引き戻しておけば安全なのでしょうか?
この人は、ピアッシング後、半分埋まったピアスが徐々に下がってきてポロっと取れてしまったそうです。

ピアスの長さと耳の厚さを比べてみてください。ピアスが短すぎるのです。私(Dr高橋)はこの社長に軸を長くすることを提案したのですが、結果は会社履歴書に書いたようなことになりました。
Case2:
この写真は別の会社のピアッサーでピアッシングした人です。
やはりキャッチが奥にはいりこんだために隙間がなく化膿しています。
前から見るとピアスが埋まっているのが分かります。

こちらの写真の人も同じピアッサーであけて1週間くらいで埋まってしまったそうです。

見た目に長そうだったので買ったとのことですが、
写真の上が埋まっていたピアス、下がJPSのスタンダードタイプです。

軸が細いために長く見えたのでしょうね。
Case3:
おいおい自分の都合のよい写真ばっかり見せて、じゃあJPSのは埋まらないのか?という声が聞こえます。
今でこそ100種類以上のロングピアスがありますが、一番最初は確か3種類でした。友だちは皆、スタンダードなんだから私もそれでいい、と押し切られてずいぶん沢山スタンダードを使いました。
この人はピアッシングから数日して「はれてきて痛い」といって来院されました。

はずすとこのようにくっきりとピアスの跡がついていました。

あと数日すると埋まったのだろうなと考えるとぞっとしました。この人のように、はずさないでいて埋まってしまった人は沢山いるはずで、申し訳ない気持ちでいっぱいです。
結論です。ファーストピアスでは、耳たぶとピアスの間にこれくらいの隙間が必要です。

上記のCase3はキャッチが先端に停まっても起きた、すなわち完全な長さの選択ミスによるものです。Case1Case2はスタンダードであるうえ、キャッチが先端に停まらないピアッサーで起きたものです。
現在もスタンダードのピアッサーは市場に流通していますが各メーカーはキャッチが先端で停まるように努力しています。
こちらの透明樹脂製のものはダメですが、金属製のファーストピアスではそこそこきちんと先端で停まるものが多くなってきて喜ばしいとおもっておりました。
Case1でお示ししたファーストピアスのメーカーだけは改良する気がないようです。不良な製品は自然淘汰されていくのが世の常で、ここ5〜6年は日本市場から消えていたのですが、販売態勢を再構築していくつかの店で再び見かけるようになってきました。

Case4:
これは最近のケースで、ファーストピアスが耳タブに食い込んできたといって治療に来られた患者さんの耳からそのままの状態で取出したファーストピアスです。
ピアッシングしてからキャッチの位置はずらしてはいないということで有効軸長は4ミリくらいです。
Case1のメーカーのものですが10年前から何ら改善がなされていません。
とても残念ですし、明らかな欠点を改善せずに販売を再開するという感覚は私には理解できません。
(この患者さんが私のクリニックを知った理由ですが、ピアッサーを購入した店で「ピアス完全マニュアル」を貰ってその中のクリニック情報を見たからとのことでした。スタンダードピアスを購入した客にスタンダードピアスの弊害を書いた冊子を渡すという感覚も理解しがたいです・・・・)
2001年12月15日

当院に治療に来られる患者さんに限っていえば、最近はピアスの長さが原因でトラブルを起こした人は非常に少なくなっています。
ほとんどのトラブルはピアスの出し入れで傷つけたものです。
「チタンロングタイプと表示されたピアッサーを使ったのに埋まってしまいました」とメール相談を受けて、治療に来ていただきました。
上の写真はピアッシングから2週間後だそうです。ロングタイプといってもキャッチが奥のほうに滑り込んでしまっています。

ピアスを取りだしてみると、このようでした。これではCase4と大差ありません。
軸の先端できちっと停まるように設計するのはなかなか難しいようです。
