埋没毛

はじめに

正常な場合、毛は皮膚の外にでている部分(毛幹)と皮膚の中にある部分(毛根)があります。正常では皮膚の外にでるはずの毛の先端が皮膚の中でトグロを巻いてしまうことがあります。「埋没毛」といいますが原因と解決法を述べます。(以下の絵は私の手書きです。判りづらいかもしれませんが御容赦を)


原因

まず、原因です。

いつも剃刀で剃る習慣の人でも、たまには毛穴の開口部を傷つけてしまうこともあるはずです。
またピンセットなどで引き抜いている人でも深く差し込んで傷つけてしまうこともあるかもしれません。

そうすると、傷どうしが癒着して毛穴が塞がってしまうことがあります。
塞がれた天井を突き破れずに、成長してきた毛は毛包の中でトグロを巻くしかないのです。

埋没毛が成長すると、癒着した薄い天井から毛が見えてみっともないですから、また全体的に盛り上がった感じとなり、気になってピンセットなどでほじくって引き抜きたくなってしまいます。

実際に引き抜いても再び(前より強い)癒着がおきてしまいます。
何回も引き抜いている間に毛嚢炎をおこすこともあります。

このような悪循環を繰り返していると、度重なる機械的刺激と炎症によって色素沈着もおきてきます。





レーザー脱毛が普及する以前は、自己処理が嫌になった人は針脱毛を受けていました。

針脱毛は、細い毛穴に沿って金属針を差し込んで、 奥まで達したら通電して赤で示した範囲をくことによって 毛包を変性させて永久に毛を生えなくさせようというものです。

成功すると毛は生えてきませんが、所々では熱のために癒着していると考えられます。

もちろん癒着していても毛が生えてこないかぎり問題は発生しません。










でも考えてみてください。毛穴によって深さや向きはちがいます。
産毛のような細い毛穴では慣れた人でも必ず的中するとは限りません。
この絵のように毛包からずれて針を刺す場合も希ではないはずです。

このまま通電したらどうなるのでしょう。

毛穴の開口部には電流が流れますから癒着がおこります。
一方、毛包は完全に変性していませんから毛は成長してくるでしょう。
針脱毛を受けている人、受けた人に埋没毛が多いのはこういう理由なのです。







解決法


通常の脱毛と同様にレーザー照射してしまいます。

トグロを巻いた毛はボリュームがありますから、また毛穴の周辺は色素沈着をおこしている場合が多いですから大量の熱が発生します。この高熱によって、ほとんどの場合には自壊して埋没毛は自然排出されてしまいます。自然排出されなくても、ニキビが破けたような毛嚢炎がおきます。そうなったらグジュグジュになった毛嚢からピンセットで毛を取りだします。

毛包の壁にある毛の再生工場である幹細胞は変性していますから毛は生えてこないはずです。もちろん高度な炎症のあとですから、傷が落ち着くのに数週間は必要でしょうし、その後しばらくの間(6ヵ月程度?)は強い色素沈着が残るでしょう。色素沈着は不満かもしれませんが、少なくとも毛は生えてきませんから悪循環は断ち切れます。新たな刺激さえなくなれば次第に皮膚は回復してくるものです。

レーザー照射前から色素沈着があった人では永久的なシミを残すこともあるでしょうが、他に治療法がないのですから我慢してください。
写真をお見せしましょう。

これはレーザー照射後2週間目のヒザ下です。
長年にわたって剃刀で処理していたために皮膚がかさかさして黒ずんでいますが、レーザー照射によるヤケドは幸いおきませんでした。(冷却装置のついたダイオードだから、このような例でも安全に照射できるのです。アレキサンドライトではこういうことはできません)
2週間目ですから、毛の「燃えかす」は青丸で囲んだように所々で残っています。緑で囲んだところでは「燃えかす」は既に脱落しています。

白で囲んだところが埋没毛で、もうすぐ破けそうなのがお分かりになるとおもいます。

これは埋没毛が排出されて3週間後の写真です。

埋没毛にレーザーを照射すると、ほとんどの場合はこのような経過をたどりますが、

たまに、毛穴の開口部の癒着が高度なために自壊してこない人もいます。このような人では燃焼した毛が「燃えかす」として、そのまま固まってしまうこともあります。

レーザー照射後3週間目のビキニラインです。
太い毛は「燃えかす」で、細い毛は照射後に生えてきたものです。
赤で囲んだ埋没毛は皮下の浅いところにあり、何回か照射していると破けて排出されるかもしれません。青で囲んだ埋没毛は深いところにあるため、このままの状態で残りそうです。
(毛そのものは黒色なのですが、皮膚を介すると青く見えるのです。○で囲っていないところにも何ヶ所か深い埋没毛があるようですね。レーザー照射で悪循環は断ち切れましたが、このような青い斑までは解決できないのが現状なのです)

2000年9月7日
高橋知之記
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