脱毛編:レーザーについてQ9

Q:レーザー脱毛は毛根・毛包を焼くとの事ですが、焼いた毛穴から汗や皮脂はちゃんと出るのでしょうか?
レーザー照射した部分の肌が乾燥してシワになる事はありますか?
肌の新陳代謝に影響はありませんか?

A:
寄道をしてピアスの話をさせていただきます。

ピアッシングしたばかりのホールは単なる傷口ですからピアスを抜けば3〜5日でホールの壁は互いにくっついて塞がってしまいます。

ピアスを抜かずにいれば、それが支えになってくっつきません。耳タブの前後から皮膚がのびてきて、やがてホールの中は皮膚で被われます。
そうなると支えとなっていたピアスを抜いてしまっても皮膚で被われた壁は互いにくっつかないわけです。

完成すればピアスを入れていなくても塞がりはしませんが、ホールの回りの組織(耳タブのお肉)に押されてだんだんと狭くなってきます。何年もピアスをいれて入ないと毛穴くらいにまで縮んでしまうので、塞がってしまったと勘違いする人もたくさんいらっしゃいます。気をつけて真っ直ぐに入れれば問題ないのですが細いピアスを乱暴にいれるとホールの壁を傷つけてしまいます。
傷つけてしまいますと、そこで癒着して塞がってしまうか感染を起して化膿するかです。
そのような場合に軟らかいシリコンリングを挿入して抗生物質軟膏などを塗っているとリングに沿って排膿され、またシリコンが支えになって癒着が起きないので再びピアスができるようになります。

これが私のピアス理論です。

さて御質問に戻りましょう。

毛包壁がヤケドすれば癒着して塞がってしまうのではないかという質問ですが、完成したピアスホールを傷つけたら塞がってしまうのととてもよく似ています。ピアスの場合はシリコンリングを支えにして癒着を防ぐわけですが脱毛の場合には支えになるものがない!?本当にないのでしょうか?
実はあるのです。ふたつもあるのです。

ひとつは毛の燃えかすです。
レーザーに反応した毛は瞬間的に燃焼して、燃えかすは元の状態よりも太くなって毛穴に詰まってしばらく抜けないことがあります。場合によっては脱落するまで数ヵ月もかかることがあって「黒い点々が取れない」という不安を訴える人は珍しくありません。

癒着防止の支えが必要なのは3〜5日ですから、その間は7〜8割の確率で燃えかすが残ります。

「でもワキの脱毛などではするっと抜けますよ」という声も聞えてきそうです。そうです。燃えかすが抜けにくいのは腕や足の場合で、ワキやビキニではするっと抜けてしまうことが多いのは事実です。
したがって、腕や足では燃えかすが抜けないために皮脂や汗の分泌に影響を与えない(にくい)といえますが、するっと抜けるワキやビキニでは皮脂や汗の分泌は減る可能性があるということになります。

汗腺にはアポクリン腺とエクリン腺のふたつがあります。アポクリン腺と皮脂腺の出口は毛包の中にありますので、これらの分泌の低下が予想されます。それらは臭汗症(わきが)の原因となりますからかえって低下するならばそれはかえってメリットです。
一方、エクリン腺は毛包の中ではなく皮膚に直接に出口があります。ですからレーザー脱毛でエクリン腺の分泌が減ることはありません。

以上の説明が実際の経過と一致しているかどうかですが、現実には皮脂やアポクリン汗はそれほど減少しないようです。

ヤケドした毛包壁を支えるものが無ければ癒着します。支えるものは燃えかすの他にもうひとつあると書きました。
皮脂腺やアポクリン汗腺はまったく損傷を受けていませんから分泌は持続的に続きます。すなわちヤケドした壁の間をちょろちょろとですが、たえず流れているのです。壁が癒着しようとするのを引き剥がしながら外に向かって流れているのです。毛穴は狭くなるでしょうが、このもうひとつの弱い支えによって隙間が完全に閉じるということは考えにくいのです。

ということで結論です。

1)温度調節などの体内環境を維持するのに重要なエクリン汗腺は障害を受けない。

2)ワキやビキニの部位にあるアポクリン汗腺については障害を受ける可能性があるがその場合には臭いが減りさらさら感が増すのでメリットのほうが多い。

3)同じく皮膚の保湿に関係する皮脂腺も障害される可能性はあるが、その可能性はワキやビキニにおいて高く四肢では低い。ワキやビキニで起きたとしてもアポクリン腺の場合と同じくメリットと考えられる。

最期におまけです。

脱毛を長くおこなってる施設に相談すると「そうではないです。手足を脱毛した人が皮膚が乾燥するようになったと訴えることはよくあります。脱毛で皮脂腺が障害を受けるのは殆ど常識ですよ」という答が返ってくるとおもいます。その話は本当です。

本当なのですが それは針脱毛の場合です。
針脱毛の場合には毛を5mmくらい伸ばしておいて、それを目印にして毛の方向に細い針をいれて毛包を焼きます。焼いた後は、焼けた確認のためにその毛を抜いてしまうのです。そうです。癒着防止のための支えがありませんし、焼ける範囲はレーザーよりもはるかに深いですから、分泌された皮脂が癒着を押し返して皮膚にでていくのが難しいのかもしれません。またワキやビキニでは皮脂とアポクリン汗腺の「二人がかり」で押し広げようとしますが、四肢にはアポクリン汗腺はありません。皮脂だけの「一人仕事」なのです。

渋谷高橋医院 院長

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