脱毛編:医院についてQ2

Q:私はエステでプラズマ脱毛を受けています。 昨日のテレビニュースでエステ脱毛は医師法違反だと言っていましたが本当ですか? 私が受けているのはレーザーじゃないから大丈夫なのですか? 教えてください。

A:針脱毛であってもレーザー脱毛であってもヤケドする危険は常にあります。医療機関で脱毛していれば、万一ヤケドしてもすぐに治療できますから大事には至らないことがほとんどです。(来院してくれなければ治療のしようがありませんが・・・)
非医療機関でヤケドがおきた場合には適切な治療の開始が遅れる場合が多く、結果として(店と客の間の)コミュニケーションが悪くなって、時々もめ事がマスコミで取りあげられています。
11月9日の「TBS-ニュースの森」のHPには、
(画像はパソコン版Q&Aページをご覧下さい)
このように記載されました。
報道された映像をご覧ください。
リアルプレーヤー版(詳細はパソコン版Q&Aページをご覧下さい)(リアルプレーヤーの方が画質がきれいです)
メディアプレーヤー版(詳細はパソコン版Q&Aページをご覧下さい)

確かにビデオの中には照射後間もない時期の悲惨な「被害写真」が写っていて、この女性が受けたショックは大変理解できます。しかしながらエステ側の肩を持つわけではありませんが、ビデオ冒頭のストッキングを脱ぐ場面では(「ぼかし」がはいっているので判りにくいですが)ほとんど治癒しているようにも見えます。直後に医師が適切な処置をおこなっていればもっとよくなっていて告訴というような事態に至らなかったようにもおもいます・・・・。

私は医師であって法律家ではありませんが、以下はこの事例に関する私の個人的な意見です。三つの問題があるように私はおもいます。

1)まず、エステ従業員と女性経営者の責任についてです。

被害にあった女性は「頭から足までしびれる。電気ショックで死にたくないっておもったぐらいに拷問に近いような痛みだったので・・・もう私、自分の足が豹柄になったのかとおもって・・・もう、鏡で見ると膝下だけ(なんか)獣のような足になっているから・・」とビデオの中で言っています。すなわち、照射中に強い痛みがあり直後からヤケドが発生したということがわかります。このエステ従業員は「痛みはありませんか?大丈夫でしょうか?」となぜ聞かなかったのかというのが私の疑問です。脱毛用レーザーは黒い色素に反応しますから肌の白い人には安全で、色黒の人ではヤケドする可能性が高いわけです。肌の色調に応じて出力を変えなければいけないのです。(色黒の人では低出力になりますから脱毛そのものができなくなってしまうかもしれませんが・・・)

ですから、いきなり膝下全体を照射せずに前もって狭い範囲でのテスト照射をして痛みがないかどうかヤケドがおきないかどうかを確かめておくべきだったのです。女性経営者は、「事前に小範囲のテスト照射をして痛みや皮膚の反応を客といっしょに観察し同意を得たうえで照射をスタートし、照射中も常に痛みや皮膚の反応確認をすること。異常があれば照射を直ちに中止すること」というマニュアルをつくり、従業員はそのマニュアルを励行すべきだったのです。そうしていればこのような広範囲のヤケドには至らなかったはずです。その点ではエステ従業員と女性経営者には過失があったのではないかと私は考えます。

2)次に機械(脱毛機)の問題です。

どのような機械を使用したのかが明らかにされていませんが、使用した機械に問題があるとおもいます。手前味噌になりますがJPSグループや私が紹介しているクリニックはLightSheerという強力な冷却装置が内蔵されたダイオードレーザーを使用しています。この機械の基本テクニックを守って照射すれば、小範囲のテスト照射も省略して「痛みはありませんか?大丈夫でしょうか?」などとも問いかけずに、ただひたすらに照射してもこの事例のようなヤケドをおこすことはありません。

ヤケドさせずにきちんと脱毛できるかどうかは(メーカーのマニュアルに従って使用するという前提のうえでですが)100パーセント機械の性能に依存します。TBSのビデオの冒頭に「医師によるレーザー脱毛」として紹介されている機械はサイノシュア社のLPIRで、私がレーザー脱毛をはじめるににあったって最初に導入し、その後廃棄処分した機械です。現在はオプションで外づけの冷却装置が入手できますが、ビデオでは冷却装置をつけない状態で照射しています。これではこの女性がヤケドをおこしたエステ用レーザーと大差ないと私はおもいます。

エステではレーザーではなくIPLという光脱毛機の方が実は多いようです。光脱毛機の主波長は600〜700nmですからヤケドをおこしやすいといえます。エステでレーザーが採用された場合には波長1064nmのヤグレーザーが多いです。ヤグレーザーは効果がいまいちですが皮膚表面での吸収が少ないのでヤケドの発生頻度が非常に低いレーザーです。

最近は冷却装置つきでロングパルス化して脱毛効果を高めようという傾向にありますが脱毛についての質問(詳細はパソコン版Q&Aページをご覧下さい)にあるようにやはりトラブルがおきるようです。(いずれ別の項で詳しく述べてみたいとおもっていますが、ヤグレーザーの将来はディレイをはさんだロングパルスだろうと考えています。ディレイというのはレーザー光線一発の持続時間を長くしたときにちょっとだけ中休みをして皮膚の損傷を防ぐ工夫で、光美顔機であるフォトフェイシャルで実用化している技術です。

光脱毛機 カンタムHRについて(詳細はパソコン版Q&Aページをご覧下さい)を御覧ください) 少し話題がそれましたが元に戻します。エステや医療機関で使用されている機械性能に差がありすぎます。どのメーカーも当社の機械が一番優秀だと言うだけで客観的な評価がなされていないことが問題です。結果として劣悪な機械が流通してヤケドが発生しているのです。このエステでそれなりのヤグレーザーを使っていれば、少なくとも今回のようなヤケドはおきなかったとおもいます。

3)さて最後は「医師法違反」の問題です。

TBSの記事では、厚生労働省は「美容レーザー脱毛の機械であっても、医師免許のない者が行なえば医師法違反にあたる」という見解をだしたとあります。この見解に従った指導取締まりが本腰をいれておこなわれればほとんどのエステは廃業に追い込まれるはずです。事態を静観しているだけで医師である私は棚ボタ式に患者(客)が増えて大助かりです。

黙っていれば増収するのでしょうが、私は、あえてここで発言いたします。この問題を医師法違反で処理するのは無理があると考えます。間違った見解や指導で良心的なエステが廃業に追い込まれる事態が発生すれば厚生行政にあらたな汚点を残すことになります。以下に述べることは、繰り返しますが、私の個人的な見解ですが行政の担当者には、是非、素直に耳を傾けて欲しいとおもいます。

私の見解を述べるにあたって、随時、医師法を参照してください。

=医師法第17条:医師でなければ、医業をなしてはならない=

医師とは医師免許を所有する者ですから議論の余地はありません。このエステ従業員は医師でないのに医業をおこなったから医師法違反に問われているわけです。医師でしかおこなってはいけない医業とは何なのでしょうか?実は「医業」の定義は法律には書かれていません。書かれてはいませんが、医業とは「医行為を業となす」ことであると行政司法の一致した見解です。

「業」とは不特定多数(場合によっては特定小数でも)に反復継続しておこなう行為です。
医行為とは「医師の医学的判断および技術をもってするのでなければ人体に危険を及ぼすおそれのある行為である」と解釈されています。ところで、医療行為と医行為は違います。医療行為のはっきりした定義はありませんが、医行為よりも広い概念です。例えば長期入院している患者の家族が、転院や退院後の自宅介助について相談したいときには主治医にではなく病院の医療相談室のスタッフに相談します。スタッフは医師ではありませんが医療行為をおこなっていることになります。ところで、医療を受ければ医療費が発生します。一部の医療費は医療費控除として税金の還付を受けることができることは皆さん御存じですよね。通院に使用したタクシー代も控除の対象ですから還付を受けた場合には、結果的に、この場合のタクシーの運転手は医療行為をおこなったことになります。医行為を業となすのは医師にしか許されていませんが、医師でなくても医療行為を業となすことはできると私は言いたいのです。
(画像はパソコン版Q&Aページをご覧下さい)

問い合わせ:
info@jps.ac
03-5992-0760

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