光脱毛機「AestiLight」について -効果と安全性の向上-

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AestiLight というのはエステサロンで用いられている光脱毛機で、すでに800台以上もの機械がサロンで稼動しているとのことです。私が使用し、愛してやまないダイ オードレーザーLightSheerが400台くらいですから、いかにたくさんの数かお分かりいただけるとおもいます。たくさんの機械が稼動しているとい うことはたくさんの方々が施術をお受けになっているということです。
サロンで永久脱毛を行なうことの法律上の是非は さておいて、効果と安全性を公正に評価しておくことは消費者保護の観点からも大切であると考えます。評価の結果、安全性に乏しくて効果も少ないと分かれば 私は声を大にして排斥運動の先頭に立つでしょうし、医師でないものが行なっても安全で効果的であればサロンで行なうことも容認許されるべきで、それを排斥 するのは職業選択の自由をおかすことにもなりかねません。
このAestiLightの販社から性能検証の依頼をいただく遥か前から展示会などで何回も触れておりますし、そのスペックも十分に把握しておりましたから、私はあまり乗り気にはなれませんでした。

この機械は基本的には別頁で検証し解説した「QuantumHR」という機械と同じです。光脱毛機の効果と副作用を左右するのは、
1)皮膚表面に捕われやすい波長の短い光を遮るためのフィルターのカット波長 2)光線の持続時間 3)出力 、です。
それに、皮膚のヤケドを防ぐための配慮(冷却装置など)も大切です。あらためて販社スタッフから受けた説明をふまえて私なりに書いてみます。
まず、フィルターは695ナノメートルですので、まずは合格です。(こちらを御覧ください)
次に、光線の持続時間は同じ仕組を採用しています。すなわち、1発照射して、少し休んで(delay)、もう1発という方式です。すなわち、AestiLightにはプログラム1とプログラム2というふたつの設定パターンがあります。

プログラム1では1000分の6秒照射(A)して、1000分の30秒休んで、再び1000分の6秒照射(B)します。投与されるエネルギーは AとBの面積と考えてよいでしょう。プログラム2では1000分の4秒照射(X)して、1000分の50秒休んで、再び1000分の4秒照射(Y)、 1000分の50秒休んで、1000分の4秒照射(Z)、します。投与されるエネルギーはX、Y、Zの面積の和です。連続して照射しないで中休みする理由 はヤケド防止です。熱湯がはいったコップに手を何秒かあてていればヤケドしますが、チョンチョンチョンと何回かに分けてわけて触ればヤケドしないのと同じ 理由です。皮膚表面はチョンチョンチョンでヤケドさせずに、皮膚表面から数ミリ奥にある毛根だけを燃やして毛包をヤケドさせるのがレーザー脱毛あるいは光 脱毛です。すこし寄道になりますが、そこを説明しておきましょう。

チョンチョンチョンというごとく実際に照射している時間は、A・BあるいはX〜Zの間だけですが中休みの間も余熱が続きます。余熱が強ければヤケドします。

毛根附近の余熱を奪わずに皮膚表面だけの余熱を奪う工夫が必要です。それが冷却ジェルであり冷却装置なのです。皮膚表面では水色の部分の余熱がなくなります。
しかし、冷却ジェルや冷却装置は皮膚表面からせいぜい2ミリくらいまでしか効果がありませんから毛根周辺では相変わらず橙色のままなわけです。
これが「delay」という方式です。とても理にかなった方式です。
最後の条件である出力ですが、最高出力はAestiLightのほうが低いです。しかし実際に使用しないような強い出力がでても意味はないので可としましょう。(日本の高速道路しか走らない車が250Km/Hだせたとしても無意味なのと同じです)
なお、プログラム1とプログラム2では出力エネルギーは同じ(A+B=X+Y+Z)であっても、プログラム2のほうは山が3箇所ですからピーク値は低くなります(標高が低い)ので、副作用は少ないですが効果もまた少ないです。(色黒の人用です)

両者の実質的な違いは照射面積だけだといってもよいでしょう。写真の左がQuantumHRで面積は34mmX8mm、右がAestiLightで20mmX10mmです。
QuantumHRの紹介・検証の頁で、私は「この機の使用説明書では強力な冷却装置があるにもかかわらずハンドピース先端を皮膚から2mm程度離して照射することになっています。「おす・ふく・ジェル」を 呪文のように唱えることを推奨している私はどうも気になるところです。・・中略・・ ためしに実行してみました。・・中略・・ ものすごく切れ味の良い反応なのが一目瞭然です。(担当者は、この反応を見てマニュアルを再検討したいと言っておりました)」と書きました。実はその後の 検討で分かったことですが、「おす・ふく・ジェル」を実行すると照射口のガラス表面が毛の燃焼によって傷つくことが分かりアイデアは御蔵入りになってし まったのです。(私が使用しているLightSheerではサファイアガラスですから耐熱性が高く傷つかないのです。
QuantumHRのガラスはあまりに大きく、サファイアガラスは高価なので採用できないのです)

したがって、照射の際にはガラスを守るために、このように少し(2mm)離す必要があるのです。
実際には、この隙間は、

こ のような粘度の高いジェルで満たされます。ジェルを介してハンドピースの冷却装置に熱は吸収されるということになるわけです。「おす・ふく・ジェル」で照 射面を皮膚に密着させないとすれば、サイズは大きいほうが効率的だという考えも成り立ちます。そう考えればQuantumHRのほうが AestiLightよりも同一部位ならば短時間で施術できます。
でもAestiLightでも照射口の面積は20mmX10mmあります。照射口のどの部分でも常に皮膚から2mmに保つのは至難の技です。

何 百発も照射すれば何回かはこのように斜めになってしまうこともあるはずです。写真をクリックしてください。ベテランのエステシャンによる照射のもようで す。慣れているので近づけすぎてのヤケドは起さないにしてもところどころでは離れすぎて効果のない照射をしてしまうはずです。ベテランでもときどき斜めに なってしまうのがお分かりになるとおもいます。

そこで、メーカーは照射面と皮膚面を常に2mmに保つ目的でスペーサーという器具を用意しています。 上がQuantumHR用、下がAestiLight用のスペーサーです。
しかし、このスペーサーを使用しても実際のところ中々一定に保つのは難しいものです。時間もかかります。施術者によっては押しつけすぎてヤケドすることも あるでしょうし、ヤケドが心配で離しすぎると脱毛効果がなくなります。(現実にそのようなメール相談はたくさん寄せられています)

写真をクリックしてみてください。先ほどのエステティシャンの施術ムービーですが、やはり斜めになる傾向は残っています。

ここまでで検証は終りです。結論を言えば同じ設定なら誰が行なっても結果は同じというわけではなく、上手な人が行なえば結果は悪くはないが「おす・ふく・ジェル」ができない以上、LightSheerのすばらしさを知っている私はまったく興味を引かれません(でした)。
以上は前置きみたいなもので、いよいよ本題にはいります。
「おす・ふく・ジェル」ができないので魅力を感じないのであって、もし、「おす・ふく・ジェル」ができれば話はちがいます。
これはQuantumHRですが、機械を立ちあげると5分くらいで右のようにガチガチの霜がつくくらいに強力な冷却装置が内蔵されています。

こちらはAestiLightです。同じくガチガチに霜がつきます。このような強力な冷却装置がついていながら「おす・ふく・ジェル」ができない理由は、すでに述べましたようにガラスがサファイアでないためです。
そこで単純なアイデアが浮かびました。「サファイアガラスに置き換えることがコスト的にできないのなら皮膚に接触する面だけを薄いサファイアガラスで覆ってしまえばよいのではないか」というアイデアです。
おもいたったら実行しないと気がすまない性格ですのでメーカーに内緒で実験してみました。(失敗だったら黙っていればよい・・・)

手元にあったフォトリボーンのハンドピースに使用しているサファイアガラスをジェルまみれにしてAestiLightの照射口に貼りつけてみました。


サ ファイアガラスを貼りつけた状態で「おす・ふく・ジェル」を実行しました。この機械は操作を単純化するために、パルス幅をプログラム1と2から選択し、出 力をレベル1〜5から選択します。P2・L1(プログラム1・レベル1)というのが最弱設定で、P1・L5(プログラム1・レベル5)というのが最強設定 です。
販社のインストラクターによれば、「最弱設定では永久脱毛できません。また、最強設定で実際に施術することはありません。そのようなことをすると、まずヤ ケドします。テスト照射で最弱と最強の中間でヤケドしないような設定を選びます」ということですが、御覧のように最強設定でも毛穴に一致して発赤(きちん と反応した証拠)がみられますがヤケドなどの異常は起きませんでした。痛みはごくわずかで、こちらの施術ムービーからもお分かりいただけるとおもいます。
AestiLight照射の翌日にLightSheerでも比較のために照射しておかなければいけないと考えて、13・18・22ジュールの3パターンで追加照射しました。左側写真です。(太い毛ですので13ジュールでも反応しています) 同じく、こちらに施術ムービーがありますが、私的には痛みの程度は同じでした。
右側写真は、その3週間後です。赤丸内がAestiLight最強設定での照射部位です。一向に毛が生えてくる気配がないので、「皮膚に接触する面だけを薄いサファイアガラスで覆う」というアイデアは有効であると確信するにいたりました。
販社から資金援助していただくのは好きでありませんから(自由な意見を言えなくなります)、ポケットマネーを叩いて実用モデルを造ってしまいました。

できあがったのがこれです。サファイアチップと呼ぶことにしました。
さて、照射から2ヶ月半後です。
プログラム1・レベル1の黒色の「x」、プログラム2・レベル1の黄色の「x」では効果のほどははっきりしませんが、その他の部位では脱毛効果は持続しているようです。

自分勝手に造ってしまったサファイアチップですが、これを着ければ誰が行なっても同じ施術ができます。近づきすぎないように、離れすぎないように、斜めにならないように気を使う必要がなくなりました。
実際にワキの脱毛を行なってみました。最強設定のP1・L5(プログラム1・レベル5)です。左が照射前、右が照射直後です。毛穴から「燃えかす」が飛びだしています。すばらしい反応です。

3発ほど照射したあとでサファイアガラスを拭いてみましたところ御覧のように「燃えかす」が付着しました。これを頻回に拭きとらないと光エネルギーがそこに集中してヤケドを起こしてしまいます。「おす・ふく・ジェル」が欠かせないほど性能が向上したわけです。こちらのムービーで施術の様子を御覧ください。

「従来方式」に比べて、「おす・ふく・ジェル」のメリットをまとめてみます。
1)従来よりも操作が簡単になり、誰が行なっても同じ効果が得られる。(医師である私が行なってもエステティシャンが行なっても、副作用のリスクも同じです。機械の最高出力を考えれば、色素沈着が高度でなければ永久的に残るような後遺症は起きないとおもいます)
2)大量のジェルが不要になった。
3)従来方式にくらべて、皮膚を圧迫することによって毛根が寝た状態となり、かつ、機械の光の出口と毛根の距離が近づく(上図、A>B)ので毛根1本あたりが受けるエネルギー量が増大し脱毛効果が高くなる。
4)一方、効果が高くなるにもかかわらず冷却能力が向上するので痛みや副作用は激減する。(実際にどれくらい冷却能力が向上するかはこちらの実験を御覧ください)
また皮膚を圧迫することによって皮下の血管から血液が排除されるのでエネルギーの血液への吸収がなくなり、より安全になる。(脱毛光線もわずかですが血液に吸収されます)
5)衛生面での向上がもたらされました。従来はジェルを介してですが光の照射口が皮膚に触れていました。施術後はハンドピースを消毒剤をつけたガーゼやティッシュできれいに拭きとるという程度のメインテナンスしかできませんでした。

サファイアチップは取りはずせますので、使用しないときは、このように薬液に漬けておくことができます。このアイデアは世界初ですので、現時点では最も衛生 的なシステムであると言えます。(他人のビキニラインを施術した機械で、口周りを施術されるのは気持のよいものではありませんですよね)

最後になりますが、このサファイアチップを着けて「おす・ふく・ジェル」を励行しますと、脱毛成績が飛躍的に向上すると私は確信いたします。
しかしながら、サファイアチップを着けても「おす・ふく・ジェル」を怠りますとヤケドなどのトラブルが起きることも事実であり、その施術の基本テクニック の習得の場所として当院を研修の場として提供することにいたしました。AestiLightをお使いでサファイアチップの研修を御希望の施設がございまし たら、私までメールをお送りください。

2003年7月10日
文責者: 渋谷高橋医院 院長 高橋知之 (E-mail: Tomoyuki@Takahashi.MD)
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